投稿者: 岩﨑哲也

  • 自社の名前が、AIの回答に一度も出てこない理由

    自社の名前が、AIの回答に一度も出てこない理由

    検索順位は悪くない。ページも定期的に更新している。それなのに先日、試しにGeminiに「山梨でAI開発を頼める会社は?」と聞いてみたら、自社の名前もサイトのURLも一切出てきませんでした——そんな違和感を覚えたことはないでしょうか。SEO対策は積み重ねてきたはずなのに、AIの回答の中では、まるで存在しないことになっている。多くの会社が「検索で見つかる」と「AIに見つかる」を同じものだと思い込んでいることが、その原因かもしれません。本記事では、この思い込みの正体と、筆者が実際に4つの生成AIを使って計測して分かった事実をお伝えします。

    筆者は山梨県のAI開発会社「KAIテクノウェブデザイン」のエンジニアです。開発歴40年、これまでに携わったシステム開発は5,000件を超え、OBCスクールではClaude Codeの講師も務めています(2026年度SMB Expert企業賞・システム開発部門受賞)。この経験は、この記事でも「だから大丈夫」と言い切るための土台として使わせてください。

    AIOとは(定義)

    AIO(AI Optimization/AI検索最適化。GEOと呼ばれることもあります)とは、Perplexity・Claude・ChatGPT・Geminiのような生成AIが回答を組み立てる際に、自社のサイトやコンテンツを情報源として理解し、言及引用しやすい状態をつくる取り組みです。

    背景はシンプルです。従来、ユーザーはGoogleで検索し、検索結果のリンクを自分でクリックしてサイトにたどり着いていました。今はClaudeやPerplexity、ChatGPTに直接質問し、AIの回答だけで完結してしまうケースが増えています。冒頭の例のように、この「AIの回答の中」に自社が登場するかどうかが、新しい集客の分かれ目になりつつある——これがAIOが注目される理由です。

    SEOとの違い——ただし土台は共通

    結論から言うと、AIOとSEOは評価者とゴールが違うだけで、やるべきことの多くは重なっています。

    SEOのゴールは検索結果ページでの上位表示とクリックで、評価者はGoogleの検索アルゴリズムです。一方AIOのゴールは、AIが生成する回答文の中で言及引用されることで、評価者は生成AIとその検索パイプラインになります。

    ただし、多くのAIは回答を作る際にWeb検索を経由し、そこで拾ったページを根拠として引用します。Googleも公式ドキュメントGoogle Search Centralで、AI機能を含む検索の仕組みについて情報を公開しています。つまり「検索で拾われるページを作る」という従来SEOの基本ができていなければ、AIOのスタートラインにも立てません。SEOを続けながら、AIOにも取り組んでいく話です。

    実際に計測して分かった3つのこと

    筆者は、Perplexity・Claude・ChatGPT・Geminiの4エンジンを対象に、同一の質問を各5回ずつ反復して投げ、自社サイトが言及・引用されるかを定期的に計測するシステムを自作し、運用しています。見ているKPIは「言及率」「引用率」「引用元ドメイン分布」の3つです。ここから分かったことを、3つに絞って共有します。

    同じ質問をしても、結果が毎回違うと思っていませんか

    同じ質問から5つの異なる結果に枝分かれする様子を表す抽象イメージ
    同じ質問から5つの異なる結果に枝分かれする様子を表す抽象イメージ

    同じAIに同じ質問をしても、返ってくる答えは毎回同じではありません。ある回では自社サイトが引用され、次の回では影も形もない——これは珍しいことではなく、AIの出力が確率的であるために普通に起こります。したがって「Claudeに聞いてみたら自社が出た/出なかった」という1回きりの確認には、ほとんど意味がありません。判断するには、同じ質問を繰り返し投げる反復計測が欠かせない、というのが実測からの実感です。ばらつきそのものを前提に見ることが出発点になります。

    llms.txtを置いただけでは、何も変わりませんでした

    検索では見えるのにAIの回答からは消えていく信号を表す抽象イメージ
    検索では見えるのにAIの回答からは消えていく信号を表す抽象イメージ

    AIO対策としてよく名前が挙がるllms.txtの設置や、schema.org(構造化データの標準仕様を定める公式サイト)による構造化データのマークアップ。筆者の計測範囲では、これらを置いただけで引用が増えるという結果は確認できていません。無意味だと言い切るつもりはなく、情報整理をしてAIにも人にも分かりやすくすること自体には意味があると考えています。ただ、「置けば引用される」という魔法の一手ではない、というのが率直な感触です。

    結局いちばん効いたのは、地味な「基本」と「具体的な数字」の組み合わせだった、というオチです

    華やかな裏技ではなく、効果を確認できているのは次の2つの積み重ねです。1つ目は、質問との関連性が高く、検索でそもそも拾われるページが存在すること。AIは検索を経由して引用元を選ぶため、ここが前提になります。2つ目は、本文に検証可能な根拠や具体的な数字が書かれていること。AIは回答の裏付けとして使える情報を選ぶ傾向があるため、「多くの企業が」ではなく「4エンジン×各5回の計測で」のように、具体的に書かれた文章のほうが選ばれやすくなります。

    今からAIO対策をやるべき理由

    AIO対策は、今のうちに始めておいて損はないと考えています。理由は3つです。第一に、AI経由で情報を集める動きはすでに始まっていて、AIの回答に登場しないことは、その分の接点を静かに失っていることを意味します。第二に、AIOの土台は従来SEOと共通するため、今取り組む施策はSEOにもそのまま効き、無駄になりにくい設計です。第三に、AIの回答は確率的であるがゆえに、効果の確認には反復計測の積み重ねが必要です。計測を始めるのが遅れるほど、判断材料がそろうのも遅れます。

    まずは、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityあたりに、自社に関係する質問を何度か投げてみて、現在地——言及されているか、引用されているか、どのドメインが引用されているか——を確かめることが最初の一歩になります。

    まとめ

    AIOとは、生成AIが回答を組み立てる際に、自社や自社コンテンツを適切な情報源として認識し、言及引用されやすい状態をつくる取り組みです。筆者は4つのAIエンジンに同一質問を各5回反復し、「言及率」「引用率」「引用元ドメイン分布」を計測しています。

    見えてきたのは、AIの回答は毎回変わるため1回の結果では判断できないこと、llms.txtなどの設置だけでは引用に直結しないこと、そして従来SEOの基本と検証可能な具体的情報の組み合わせが効いてくること、の3点です。裏技探しよりも、確認できる事実を積み重ねて、AIの反応を継続的に見ていく——これが、現時点で実測を通じて言えるAIO対策の基本です。

    よくある質問(FAQ)

    AIOとSEOはどちらを優先すべきですか?

    どちらか一方を選ぶ話ではありません。AIは検索で拾ったページを引用する傾向があるため、SEOの基本ができていることがAIOの前提になります。

    llms.txtは設置すべきですか?

    設置自体が妨げになるわけではありませんが、設置だけでAIからの引用に直結するという結果は、筆者の計測では確認できていません。

    AIに自社が引用されているか、どう確認すればいいですか?

    Gemini・Claude・Perplexity・ChatGPTなどに、自社に関係する質問を同じ文面で複数回投げて確認します。1回の結果で判断せず、繰り返して傾向を見ることが大切です。

    AIOの効果はどんな指標で測ればいいですか?

    「言及率」「引用率」「引用元ドメイン分布」の3つをKPIにしています。

    AIOの効果はすぐに出ますか?

    即効性を約束できる施策ではありません。効果の確認自体に反復計測の積み重ねが必要なので、早めに着手しておくことに意味があると考えています。

    SERVICE

    自社の現在地を一緒に確認したい方は、AIO対策のサービスページもご覧ください。

    AIO対策のサービスページ
  • AI導入事例:受注・発送業務をAIで立て直した2社の記録

    AI導入事例:受注・発送業務をAIで立て直した2社の記録

    注文・問い合わせ・発送といった日々の業務が、売上の伸びとともに人手で追いつかなくなる。多くの現場で起きているこの問題に、AIをどう組み込んで解決したか。ここでは実際に相談を受けた2社の事例と、その裏にある考え方を、できるだけ具体的に記録する。

    目次

    1. なぜ今、業務システムにAIを組み込むのか
    2. AI Labについて
    3. 事例①:焼肉店・食肉卸のEC/受注業務 ― 30人体制から15人で当日完結へ
    4. 事例②:子供服EC ― 主婦3人体制から年商5億円へ
    5. 全面刷新型と組み込み型 ― どちらでAIを導入するか
    6. AI導入でよくある失敗パターン
    7. 費用・期間の目安と対応エリア

    1. なぜ今、業務システムにAIを組み込むのか

    業務フローが整理される様子を表す抽象イメージ

    注文数や問い合わせ件数が増えると、まず人手を増やして対応しようとする。しかし人を増やすには採用・教育のコストと時間がかかり、業務量の増加スピードに追いつかないことが多い。結果として、注文処理が翌日以降にずれ込む、問い合わせへの返信が遅れる、といった形で業務が滞留していく。

    ここで有効なのが、既存の業務システムに生成AIを組み込むという方法だ。とくに効果が大きいのが、自社の商品情報・注文履歴・FAQ・過去のやり取りをAIに参照させたうえで回答や処理を生成する仕組みで、これは「RAG(Retrieval-Augmented Generation/検索拡張生成)」と呼ばれる。汎用のチャットAIが持っていない自社固有の情報を検索してから回答を組み立てるため、社内の担当者が答えるのに近い精度を出せる。この技術はLewis et al.の論文”Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks”(NeurIPS 2020)で提案されたもので、今の業務システムへのAI組み込みの土台になっている。

    重要なのは、AIを入れれば自動的に業務が改善するわけではないという点だ。どの業務のどの部分をAIに任せ、どこは人が判断するかを設計する必要がある。以下の2つの事例は、その設計をした結果である。

    2. AI Labについて

    AI Labは、山梨県を拠点に1980年代から業務システムの受託開発を行ってきたKAIテクノウェブデザイン(岩﨑哲也)が運営するAI導入支援の窓口だ。

    もともとは自社サイト(ses-jv.jp)のAIO対策(AI検索最適化)に自ら取り組んだのがきっかけだった。ChatGPTやPerplexityのようなAI検索から見つけてもらうために、自分自身でAIを使って情報発信や業務の見直しを進める中で、同じ課題を抱える顧客からの相談が増え、専門のサービスとして独立させたのがAI Labである。

    母体となるKAIテクノウェブデザインは、製造・卸・小売・サービス業の業務システムを長年設計してきた会社で、会社として関わった開発・導入は累計5,000件になる。AI Labはこの実績の上に、AIという新しい選択肢を追加したものであり、ゼロから始まったAI専業サービスではない。

    3. 事例①:焼肉店・食肉卸のEC/受注業務 ― 30人体制から15人で当日完結へ

    業種:焼肉店・食肉卸のEC/受注業務

    導入前の状況:注文受付、問い合わせ対応、発送作業を30人体制で回していた。業務量が増えるにつれて処理が追いつかなくなり、当日中に完結すべき作業が翌日以降に持ち越されることが常態化していた。

    行ったこと:AI導入による業務の整理と改善。注文受付から問い合わせ対応、発送指示までの流れを見直し、AIが処理できる部分と人が判断すべき部分を切り分けた。なお同社とは別に、食肉工場向けにLINE受注から請求までを一体化したシステムをPMとして構築した実績もあり、食肉業界の受発注業務特有の事情(在庫の鮮度管理、発送単位の複雑さなど)を踏まえた設計ができた。

    結果:15人体制で日々の業務が当日中に完結するようになった。人員をほぼ半減させながら、業務効率化も同時に達成している。人を減らすことが目的ではなく、増員なしでは対応しきれなかった業務量を、AIを組み込んだ体制で吸収した結果である。

    4. 事例②:子供服EC ― 主婦3人体制から年商5億円へ

    少人数のまま事業規模が拡大する様子を表す抽象イメージ

    業種:子供服EC

    導入前の状況:主婦3人の体制で運営し、月商は数百万円規模。注文対応、問い合わせ対応、新商品登録に追われ、これ以上人を増やさない限り成長が止まっている状態だった。

    行ったこと:受注・発注・発送をすべて管理するAIシステムを構築した。注文が入ってから発送されるまでの一連の流れと、発注のタイミング判断までを一つのシステムでカバーする設計にした。

    結果:人員を増やさないまま年商5億円まで拡大した。3人という体制そのものは変えずに、業務量の上限を引き上げた形になる。

    2つの事例に共通するのは、「人を増やす」のではなく「一人あたりが処理できる業務量を増やす」方向でAIを使った点だ。業種も課題の中身も異なるが、どちらも受注から発送までの流れの中にボトルネックがあり、そこにAIを組み込むことで解消している。

    5. 全面刷新型と組み込み型 ― どちらでAIを導入するか

    既存の仕組みにAIを組み込む様子を表す抽象イメージ

    AI導入には大きく分けて2つのやり方がある。既存システムを丸ごと作り替える「全面刷新型」と、既存システムを残したまま必要な部分にAIを追加する「組み込み型」だ。

    全面刷新型 組み込み型
    既存システム 作り替える そのまま残す
    期間 半年〜1年以上になりやすい 数か月から始められる
    コスト まとまった投資が必要になりやすい 小さく始めて段階的に拡張できる
    業務への影響 移行期間中に運用が止まりやすい 現場の運用を止めずに検証できる
    向いているケース システム自体が老朽化し限界にきている 特定の業務(受注処理・問い合わせ対応など)がボトルネックになっている

    AI Labでは、多くの場合、組み込み型を優先して検討する。既存システムを残したまま、AIを必要な部分に組み込む方法のほうが、リスクを抑えながら効果を確認できるからだ。

    進め方としては、まずヒアリングで現状の業務フローとボトルネックを確認し、小さく試作(PoC)を作って実際のデータで検証する。効果が確認できた部分から本番の業務システムに組み込み、運用しながら調整していく。事例①・②とも、この順番で進めている。

    6. AI導入でよくある失敗パターン

    相談を受ける中で、以下のようなパターンで導入がうまくいかないケースをよく見る。

    • 汎用のチャットAIをそのまま導入し、自社の商品情報や過去のやり取りを参照できないまま使い、的外れな回答しか返せない
    • 業務の一部ではなく全部を一度に作り替えようとして、途中で開発が止まる
    • 導入後に「誰が結果を確認し、誰が修正するか」という運用体制を決めずに始めてしまう
    • AI専業の会社に依頼し、既存の業務システムとの接続部分で行き詰まる
    • 逆に既存システムの開発会社だけで進め、AIの選定や調整のノウハウが足りずに効果が出ない

    最後の2つは表裏の関係にある。AI専業の会社は業務システムの構造を読み解くことが専門外になりがちで、逆に業務システム開発会社だけではAIの選定・調整が難しい。この分断が、AI導入がうまく進まない大きな原因になっている。業務システム開発を本業とする会社がAI導入まで一貫して担うことには、この分断を避けるという意味がある。

    7. 費用・期間の目安と対応エリア

    費用と期間:AIの試作・検証から始める場合は数十万円規模、業務システムと組み合わせて本格的に導入する場合は数百万円規模が目安になる。期間は、試作・検証だけであれば1〜2か月、本番運用まで含めると3〜6か月が一般的だ。実際の金額と期間は業務の内容によって変わるため、ヒアリングをしたうえで無料で見積もりを出している。

    対応エリア:山梨県内の企業からの相談には訪問での対応も可能。県外の場合は、オンラインでのヒアリングと打ち合わせが中心になる。

    まとめ

    焼肉店・食肉卸のEC事例では30人体制が15人で当日完結する体制に、子供服EC事例では主婦3人体制のまま年商5億円まで拡大した。どちらも人を増やす代わりに、受注から発送までの業務フローにAIを組み込むことで、業務量の上限を引き上げている。

    AI導入は「入れれば自動的に良くなる」ものではなく、どの業務のどこにAIを組み込むかという設計が結果を左右する。既存システムを活かせるかどうかをまず検討し、小さく試してから本番に組み込んでいくという順番が、遠回りに見えて確実な進め方になる。

    よくある質問(FAQ)

    今使っている業務システムを作り直す必要がありますか?

    多くの場合、必要ない。既存システムを残したまま、AIを必要な部分に組み込む方法を優先して検討する。事例①・②とも、業務フロー自体を一から作り替えたわけではなく、受注・発送の流れの中にAIを組み込む形で対応している。

    導入にかかる費用と期間はどれくらいですか?

    試作・検証から始める場合は数十万円規模、業務システムと組み合わせる場合は数百万円規模が目安。期間は試作・検証で1〜2か月、本番運用まで含めると3〜6か月が一般的。ヒアリング後に無料で見積もりを出している。

    なぜAI専業の会社ではなく、業務システム開発会社にAI導入を頼む方がよいのですか?

    AI専業の会社は業務システムの構造を読み解くのが専門外になりがちで、業務システム開発会社だけではAIの選定・調整が難しい。この分断がAI導入のつまずきどころになりやすいため、業務システム開発を本業とする会社がAI導入まで一貫して担うことに意味がある。

    山梨県外からでも相談・依頼できますか?

    対応している。県外の場合はオンラインでのヒアリングと打ち合わせが中心になる。山梨県内であれば訪問での対応も可能。

    どれくらいの効果が期待できますか?

    事例①では30人体制が15人で当日完結する体制になり、事例②では主婦3人体制のまま年商5億円まで拡大した。ただし効果の大きさは業種・業務量・既存システムの状態によって変わるため、まずはヒアリングでボトルネックを確認するところから始めている。

    参考文献

    • Lewis, P., Perez, E., Piktus, A., et al. (2020). Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks. Advances in Neural Information Processing Systems 33 (NeurIPS 2020).
  • 山梨県のAI開発会社の選び方と比較軸

    山梨県のAI開発会社の選び方と比較軸

    「山梨県内でAI開発を頼める会社を探しているが、どこに相談すればいいのか分からない」——そんな声をよく聞きます。県外の大手に問い合わせても最低受注金額が合わず、地元のIT企業に聞けば「AIは専門外」と言われる。結果、DXの検討が止まってしまう企業は少なくありません。

    この記事では、山梨県でAI開発・AI導入を依頼する際に見るべき比較軸を、発注側の視点で整理します。あわせて、既存の業務システムを作り直さずにAIを組み込む現実的な進め方と、費用感・期間の目安、相談前に準備しておくと話が早い材料まで解説します。読み終えたとき、自社が「どのタイプの会社に相談すべきか」を判断できる状態を目指します。

    目次

    1. 山梨県でAI開発を依頼できる会社は大きく3タイプに分かれる
    2. 失敗しないAI開発会社の比較軸5つ(チェックリスト付き)
    3. 「作り直す」か「組み込む」か——既存システムへのAI導入という現実解
    4. 山梨県企業のAI導入で多い3つの用途と費用・期間の目安
    5. 相談前に準備しておくと見積もり精度が上がる3つの材料
    6. AI Lab by SES-JVの考え方と実績(40年・5,000件から見えたこと)
    7. まとめ:まずは「AIで解く価値のある業務」を1つ選ぶ
    8. よくある質問(FAQ)

    山梨県でAI開発を依頼できる会社は大きく3タイプに分かれる

    AI開発を依頼できる3タイプの会社を表す抽象イメージ

    山梨県内またはその近県でAI開発を依頼できる先は、大きく次の3タイプに分類できます。

    タイプ 得意領域 価格帯レンジ コミュニケーションコスト
    ①県外の大手SIer・AIベンダー 大規模データ基盤構築、先端技術の研究開発的案件 数百万円〜数千万円 高い(窓口は東京・大阪が中心。訪問対応は別途調整が必要)
    ②Web制作・受託開発会社のAIオプション チャットボット設置、既存APIを組み込んだ単発の機能追加 数十万円〜数百万円 中程度(Webやフロントエンドが中心。既存システムとの連携は専門外のことが多い)
    ③業務システム開発を本業とし、AI組み込みまで担う地場企業 既存の基幹・販売管理システムへのAI機能追加、業務フロー全体の最適化 数十万円〜(規模により変動) 低い(訪問による現場確認・要件定義が可能)

    山梨県は甲府市、韮崎市、富士吉田市など拠点が分散しており、製造業・食品加工・建設業・観光業といった「現場を持つ産業」の比率が高い地域特性があります。こうした業種では、現場の作業フローや設備との兼ね合いがAIの要件に直結するため、実際に現場へ足を運んで業務を見られる距離感が要件定義の精度を大きく左右します。

    AI Lab by SES-JV(運営:KAIテクノウェブデザイン)は③のタイプに該当します。AIを単体のプロダクトとして売るのではなく、日々の業務を支えるシステムやデータの延長線上にAIをどう設計するかという視点で開発しています。「AIありき」ではなく、業務課題の解決手段としてAIが適切かどうかを判断するところから関わる進め方です。

    失敗しないAI開発会社の比較軸5つ(チェックリスト付き)

    AI開発会社を比較する際、技術力や実績だけでは判断材料として不十分です。以下の5つの軸で評価すると、発注後のトラブルを減らせます。

    1. 既存システム・データとの接続実績があるか
      見積もり時に使える質問例:「現在使っている販売管理システムとのデータ連携は可能ですか。過去に同様のシステムと接続した実績はありますか」
      AI単体の開発力があっても、自社の基幹システムからデータを取り出せなければ意味がありません。特に古いパッケージソフトやオンプレミス環境を使っている場合、API連携やCSV出力の可否を事前に確認できる会社かどうかが重要です。
    2. PoC止まりにせず運用まで見るか
      見積もり時に使える質問例:「PoC(概念実証)の後、本番運用に移行する際の追加費用と期間はどれくらいですか」
      PoC段階で精度が出ても、実際の業務で使える状態にするには、エラー時の処理、ユーザー教育、保守体制の整備が必要です。検証だけで終わらせず、運用フェーズまで責任を持つ会社かどうかを確認してください。
    3. 費用の内訳(要件定義/開発/学習データ整備/保守)を分解して出せるか
      見積もり時に使える質問例:「見積もりの内訳を、要件定義・開発・データ整備・月額保守に分けて提示してもらえますか」
      総額だけの見積もりでは、どの工程にコストがかかっているのか判断できません。特に学習データの整備(ラベル付けやクレンジング)は工数が膨らみやすい部分です。内訳を明示できる会社は、プロジェクト管理の透明性が高い傾向があります。
    4. 精度が出なかった場合の扱いを契約前に握れるか
      見積もり時に使える質問例:「目標精度に達しなかった場合、追加の学習や手法変更は追加費用になりますか。契約時に取り決めておけますか」
      AIは従来のシステム開発と違い、「作れば必ず動く」とは限りません。データの質や量、業務の複雑さによっては、期待した精度が出ないこともあります。その場合の対応方針を契約前に明文化できるかが、信頼できる会社の指標になります。
    5. 発注側の担当者が1人でも回せる運用設計になっているか
      見積もり時に使える質問例:「運用開始後、こちらの担当者が日常的に行う作業はどの程度ですか。マニュアルや研修は含まれますか」
      導入後、専任のエンジニアを置ける企業はほとんどありません。現場の担当者が無理なく運用できる設計(再学習の頻度、エラー通知の仕組み、問い合わせ窓口)になっているかを確認してください。

    開発歴40年・累計5,000件の受託経験から見えてきたのは、相談時点で要件が固まっている案件はむしろ少ないという実務感覚です。「この業務、何とかならないか」という漠然とした相談から始まるケースが大半で、要件が曖昧なまま相談しても問題ありません。対象業務を小さく切り出し、検証しながら進めるほうが、最終的な費用対効果は高まります。

    「作り直す」か「組み込む」か——既存システムへのAI導入という現実解

    作り直しと組み込みの違いを表す抽象イメージ

    基幹システムや販売管理システムを長年使っている企業がAIを導入する際、最大の選択肢は「システム全体を作り直すか、既存システムを残してAIを組み込むか」です。

    システムを丸ごと刷新すれば、最新のAI機能を最初から組み込めます。しかし、開発費用(数百万円〜数千万円規模)、移行期間中の業務停止または二重運用、現場スタッフへの再教育、データ移行時のトラブル対応と、コストが跳ね上がります。中小企業にとって、これらを一度に負担するのは現実的ではありません。

    対して、既存システムからデータを取り出し、API連携や周辺ツールとしてAI機能を動かす構成であれば、初期費用を抑えられ、現場の業務フローを大きく変えずに済み、小さく始めて効果を確認してから拡張できます。

    ただし、この方式が成立するには条件があります。データをCSVやAPIで外部に取り出せる、データの更新頻度が把握できている、業務フロー自体は変えずに一部工程だけをAI化できる——この3つが揃っていることが前提です。逆に、データを一切外部に出せない、システムの仕様書もソースコードも残っておらず改修の影響範囲が読めない、データ形式が統一されておらず前処理に膨大な工数がかかる、といった場合は、部分改修やリプレイスの検討が必要になります。

    移行判断は、次の3つの問いに順番に答えることで見えてきます。

    1. データが外部に取り出せるか → 取り出せるなら組み込み方式を検討。取り出せないなら部分改修またはリプレイスが必要。
    2. 更新頻度は高いか → 日次・週次程度ならバッチ連携で対応可能。リアルタイム連携が必須ならAPI改修が必要。
    3. 業務フローを変えずに済むか → 一部工程だけAI化できるなら組み込み方式が有効。業務全体の見直しが必要ならリプレイスも視野に。

    AI Lab by SES-JVでは、作り直さずにAIを組み込むアプローチを基本としています。ただし、データ構造が複雑すぎる、セキュリティ要件が厳しいといった場合は、この方式が適用できないこともあります。その場合は正直にお伝えし、別の選択肢を提示する方針を取っています。

    山梨県企業のAI導入で多い3つの用途と費用・期間の目安

    AI活用の3つの用途を表す抽象イメージ

    山梨県内の企業からよく相談を受けるAI導入の用途は、大きく次の3つに分類されます。

    (A) 問い合わせ・社内ナレッジのAI検索(RAG)

    向いている業種は製造業(技術資料・マニュアル検索)、観光業(よくある質問への自動応答)、建設業(過去の施工事例検索)です。必要なデータはPDF・Word・Excelなどの文書ファイル、過去の問い合わせ履歴、社内wikiなど。ベテラン社員に聞かないと分からなかった情報を、新人でも数秒で引き出せるようになります。ただし、情報が散在している、文書の記述が曖昧といった場合は、事前の整理が必要です。

    生成AIを活用したRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)は、自社の文書データベースと生成AIを組み合わせることで回答の事実性を高める仕組みとして、実務での導入が広がっています。総務省『令和6年版 情報通信白書』でも、企業における生成AI活用の検討が進んでいることが取り上げられており、社内情報の検索・要約は主要な活用場面のひとつとして挙げられています(出典:総務省『令和6年版 情報通信白書』)。

    (B) 画像を使った検品・点検の補助

    向いている業種は製造業(外観検査、キズ・汚れの検出)、食品加工(異物混入チェック)、建設業(ひび割れ検知)です。必要なデータは良品・不良品の画像データ(数百枚〜数千枚)と、撮影環境の統一。人の目では見落としやすい微細な異常を検出できますが、照明条件や撮影角度が統一されていないと精度が安定しません。導入前に撮影環境の整備が必要です。

    (C) 見積書・日報・受発注書類などの読み取りと転記自動化

    向いている業種は建設業(日報の集計)、製造業(発注書のデータ化)、卸売・サービス業(請求書処理)です。必要なデータは過去の帳票サンプル(フォーマットが統一されているほど精度が高い)。手入力による転記ミスが減り、月末の集計作業が大幅に短縮されます。手書き文字や複雑なレイアウトには対応できないケースもあります。

    費用と期間は、用途と規模によって変動します。効果を確かめる小規模な検証(PoC)であれば数十万円規模・1〜3か月程度から始められるケースがあります。本番運用を前提とした開発では、連携先システムの数、求める精度、学習データ整備の有無によって費用が変わり、期間の目安は3か月以上です。見積もりを比較する際は、総額だけでなく「要件定義/開発/データ整備/月額のランニング費用」に分解して提示してもらうと、判断材料が増えます。

    相談前に準備しておくと見積もり精度が上がる3つの材料

    AI開発会社に相談する際、次の3つの情報を用意しておくと、見積もりの精度が上がり、提案内容も具体的になります。

    (1) 対象業務の作業手順と月間件数・所要時間

    現在の作業手順(誰が、どの順番で、何をしているか)、月間の処理件数、1件あたりの所要時間。たとえば「見積書の転記作業を自動化したい」という相談であれば、「月に200件、1件あたり5分かかっている」という情報があるだけで、AI化による削減効果が試算できます。

    (2) 現在使っているシステム名とデータの出力可否

    使用中の基幹システム・販売管理システムの名称、データをCSVやExcelで出力できるか、API連携の可否(不明な場合はシステムのベンダーに確認)。この情報があれば、組み込み方式が適用できるかどうかの判断が早まります。

    (3) AI化で達成したい状態

    時間削減(月末の集計作業を3時間から30分に短縮したい)、品質均一化(検品のバラつきをなくし、不良品の見逃しを減らしたい)、属人化解消(ベテラン社員しか対応できない業務を標準化したい)——目的が明確であれば、それに適したAI手法や評価指標を提案できます。

    実際には「何から整理すればいいか分からない」という状態で相談されるケースがほとんどです。それで問題ありません。初回相談では、現在困っている業務や課題を自由に話してもらい、その業務の月間工数や頻度を大まかに把握し、AIで解決できそうな部分と別の手段が適している部分を切り分け、小さく始められる範囲を提案する、という流れでヒアリングを行います。AI Lab by SES-JVでは、業務ヒアリングを起点に「AIで解く価値のある工程」を絞り込む進め方を取っています。相談の段階で完璧な資料を用意する必要はありません。

    AI Lab by SES-JVの考え方と実績(40年・5,000件から見えたこと)

    AI Lab by SES-JVを運営するKAIテクノウェブデザインは、開発歴40年・累計5,000件の業務システム開発実績を持ちます。この40年で一貫して見てきたのは、システムは作った後の運用期間のほうがはるかに長いという事実です。AI導入も同じで、PoC段階で高い精度が出ても、実際の業務フローに組み込めなければ、結局使われなくなります。

    だからこそ、AI Lab by SES-JVでは「運用前提で設計する」ことを重視しています。再学習の頻度は現実的か、エラーが出たとき現場の担当者だけで対処できるか、保守費用は長期的に負担可能か——こうした問いに答えられる設計でなければ、導入後に破綻します。

    5,000件の受託開発を通じて得た見解として、AI導入の成否は業務手順が言語化されているかどうかで決まると考えています。「この作業、ベテランの担当者しかできない」という状態では、AIに学習させるデータも判断基準も定義できません。逆に「この工程は、こういう条件のときにこう判断する」と言語化できていれば、AIへの落とし込みはスムーズに進みます。AI導入は、業務の標準化と同時に進めるべきプロジェクトです。

    AI Lab by SES-JVは、山梨県内を主な商圏としています。訪問して現場を見られる距離にあることは、要件定義と現場定着の両面で効果があります。実際の作業場を見ることで、「このデータはどこから来ているのか」「この判断は誰がどう行っているのか」が正確に把握でき、リモートだけでは見えない現場の制約や工夫を要件に反映できます。導入後に「使い方が分からない」といった問題が出たときも、すぐに訪問して対応できます。製造業の現場、建設現場、観光施設など、山梨県内の多様な業種・業態を見てきた経験が、AI導入の設計にも活きています。

    まとめ:まずは「AIで解く価値のある業務」を1つ選ぶ

    山梨県でのAI開発会社選びは、「タイプの見極め」「5つの比較軸」「既存システムを活かせるか」の3点で判断できます。県外の大手、Web制作系、業務システム開発を本業とする地場企業——それぞれに得意領域があり、自社の状況に合った相手を選ぶことが成功の第一歩です。

    いきなり全社DXを狙うのではなく、月間工数の大きい業務を1つ選んで小さく検証するのが現実的です。効果が確認できてから、横展開していく進め方が、費用対効果も現場の納得感も高まります。

    「この業務、AIで何とかならないか」という構想段階のご相談でも構いません。現行システムを作り直さずにAIを組み込めるかどうか、40年・5,000件の開発実績をもとに判断材料をお出しします。AI Lab by SES-JVへお気軽にご相談ください。

    よくある質問(FAQ)

    山梨県内にAI開発を依頼できる会社はありますか。

    あります。県内で業務システム開発を手がける企業の中には、既存システムへのAI組み込みまで対応する会社があります。選ぶ際は「AI単体の開発力」だけでなく、自社の基幹システムやデータと接続できるか、導入後の運用・保守まで見てくれるかを確認してください。訪問して現場を確認できる距離にある会社は、要件定義の精度が上がりやすい点も利点です。

    業務システムの開発とAI導入を1社にまとめて頼めますか。

    可能です。むしろ、システム側の仕様とデータ構造を把握している会社がAIも担当したほうが、連携部分の手戻りが減ります。分離発注にすると「データが取り出せない」「責任範囲が曖昧」といった問題が起きやすくなります。AI Lab by SES-JV(運営:KAIテクノウェブデザイン)は、開発歴40年・累計5,000件の業務システム開発を土台に、既存システムを作り直さずにAIを組み込む進め方を取っています。

    今使っているシステムを作り直さずにAIを導入できますか。

    多くのケースで可能です。既存システムからデータを出力できる、またはAPIで連携できるのであれば、システム本体には手を入れずに周辺でAI機能を動かす構成が取れます。ただし、データを一切外部に出せない、仕様書もソースも残っていないといった場合は、部分的な改修が必要になることがあります。まずは現行システムのデータ出力可否を確認するところから始めてください。

    AI開発の費用と期間はどれくらいかかりますか。

    用途と規模で変わります。効果を確かめる小規模な検証であれば数十万円規模・1〜3か月程度から始められるケースがあり、本番運用を前提とした開発では連携するシステム数や求める精度、学習データ整備の有無によって変動します。見積もりを比較する際は、総額だけでなく「要件定義/開発/データ整備/月額のランニング費用」に分解して提示してもらうと判断しやすくなります。

    何から相談すればよいか分かりませんが、問題ありませんか。

    問題ありません。実際の相談では、要件が固まっていない段階から始まる案件のほうが一般的です。準備できる範囲で「時間がかかっている業務の手順」「月間の件数や所要時間」「使っているシステム名」の3点を共有いただければ、AIで解く価値がある工程かどうかの判断材料になります。